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令和2年度 ロコモティブシンドローム予防教室

コロナに勝つ!ロコモに勝つ!
令和2年度 ロコモティブシンドローム予防教室
「ロコモティブシンドローム(2)」
講師 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
看護実践開発科学講座
教授 竹屋 泰 氏
皆さんこんにちは。
ロコモティブシンドロームの第2回目についてお話させていただきます。
私は大阪大学の竹屋泰と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
<スライド> ロコモを知ろう!ロコモティブシンドローム
2回目は、ロコモティブシンドロームの内容について詳しくお話させていただくとともに、似たような老年医学用語、混乱しやすい老年医学用語である「フレイル」や「サルコペニア」についても少しお話させていただきます。
<スライド> ロコモとは?
ロコモティブシンドロームの略称ですが、ロコモというのはどういった意味でしょうか。
移動するための能力があることを表すロコモーティブという言葉から作ったもので、和製英語です。移動するための能力が不足したり衰えたりした状態を指します。
日本語では、運動器症候群と訳されます。
<スライド> ロコモティブシンドロームとは?
コモティブシンドロームとは、運動器の障害のために立ったり歩いたりすることが難しくなった状態を言います。
運動器というのは、骨や筋肉、関節のほか、脊髄や神経が連携し、体を動かす仕組みのことです。
普段私達は何気なく体を動かしていますが、それは運動器の各パーツの働きが連動して成り立っています。どれか一つが悪くても、体はうまく動きません。
<スライド> ロコモティブシンドロームとは?
運動器は、骨、関節、筋肉、神経などで成り立っていますが、これらの組織の障害、例えば痛みがあったり、動きが悪くなったり、姿勢が悪くなったり、筋力が低下したり、或いはバランス能力が低下したり、そういった障害によって、立ったり歩いたりするための移動機能が低下した状態がロコモです。
ロコモが進行すると、将来様々な生活や社会参加に制限が加えられて介護が必要になるリスクが高まります。
要支援、要介護になる原因のトップは、転倒骨折や関節の病気など、運動器の故障であることはあまり知られていません。
<スライド> ロコモとフレイルの関係 フレイル
よく似た言葉、最近耳にされたこともあるかもしれませんが、高齢者の虚弱・脆弱を示す言葉であるフレイルとロコモの関係について、少しお話しさせていただきます。
<スライド> フレイル報道
フレイルというのは、2014年に初めて日本語としてデビューしました。それまではなかった日本語です。新聞等にも載りましたので、ご覧になった方もおられるかもしれません。
これが2014年です。
<スライド> フレイルとは?
その4年後にフレイル診療ガイドという手引き書ができました。
その最初の方に、フレイルの定義ということが書かれています。スライドに示していますが、これがフレイルの定義ということなので読んでおきます。
フレイルとは、「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表すfrailtyの日本語訳として日本老年医学会が提唱いたしました。
もう一つあり、フレイルは要介護状態の前段階として位置付けられます。まだ介護状態ではありません。
一見元気そうな状態ですが、身体的な脆弱性のみならず、例えば抑うつや認知症などの精神心理的な脆弱性や、経済的な問題、スーパーが遠いとか坂道が多いとかの環境、このような社会的脆弱性など、多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味するというふうに定義されています。
ただ、このように文章に書かれますと、何となく難しく、どういった人がフレイルなのか、イメージしにくいと思います。
<スライド> フレイルという概念
よく出てくる図ですが、人の一生というのは、病気やストレスや加齢によって予備能力がだんだん低下して、健康な状態からフレイルという中間段階を経て、身体機能障害、そして死に至ります。
身体機能障害というのは要介護状態。
フレイルというのは、その一つ手前の要支援状態を指しています。フレイルのあたりまでが大体健康寿命。介護が必要となった状態は、健康寿命を外れるということになります。
フレイルという中間段階は、しかるべき介入をしてあげれば、また元の健康状態になることが、多くの研究からわかっています。
しかし、転んだとか、風邪をこじらせたとか、そういった些細なことから、一気に身体機能障害、そして場合によっては死に至る重要な中間段階と考えられています。
<スライド> フレイルとは要介護状態に至る前段階であり、要介護状態ではありません
フレイルというのは要介護状態に至る前段階です。
これが要介護状態です(左の写真)。車椅子で介護されています。
その前段階は介護状態ではありません(右の写真)。お洒落に趣味を楽しんでいて、一見元気そうなおばあちゃんで、まだ介護は必要がないと考えられるような状態ですが、でも実はフレイルです。
脆弱性、弱さを体の中に持っているということは、見た目だけでは判断できません。
ではどうやってフレイルというのは診断するのでしょうか。
<スライド> Frailty
最もよく使われているのが、アメリカの老年医学者のフリード先生が発表した診断方法です。
フレイルにはいろいろな診断方法がありますが、世界で、そして日本でも最もよく使われている簡便な指標として、フリード先生が報告したフレイルの診断法があります。
フリード先生は、フレイリティー、これは虚弱とか衰弱という意味ですが、その虚弱という言葉から連想される要素をたくさん思い浮かべました。
フリード先生ですから英語で思い浮かべました。
例えば、虚弱な高齢者は、体が縮んでいるshrinking(シュリンキング)という英語です。
虚弱な高齢者は、lowactivity(ロウアクティビティ)。確かに動きが少ないです。家にいたり、じっとしたり、ひきこもったり。
虚弱な高齢者は、弱弱しい、weakness(ウイークネス)。虚弱な高齢者は、よくしんどい、しんどいと言っています。
虚弱な高齢者は動きがゆっくり、slowness(スローネス)。
そういった言葉を実はこの五つだけではなく、幾つも幾つもたくさん思い浮かべます。
そして、これらのあるなしで、5,000人ぐらいの高齢者をじっと前向きに観察していきます。
で、このスローネスやシュリンキングのありなしで、その後の死亡や、転倒する回数、入院の回数に差があったものが、この五つでした。
幾つも幾つも、「虚弱な高齢者」ということでいろいろな単語を思い浮かべて、高齢者を観察した結果、この五つが大切だということを報告しました。
ただ、シュリンキングとかウイークネスではまだ科学(サイエンス)になりません。従ってフリード先生は、これらの言葉を1個1個置き換えていきます。
シュリンキングは体重減少で置き換えて、ロウアクティビティーは身体活動量の減少。これは、1日何キロカロリーを余暇や体操に使いますかということです。
ウイークネスは握力低下で置き換えて、疲れやすさ、自覚的な疲労感、「あなたはこの2週間わけもなく疲れたような気がしますか?」「はい。」「いいえ。」それだけです。
スローネスを歩行速度の低下で置き換えて、五つのうち三つ以上当てはめればフレイルと判定しよう、診断しようと報告しました。
これは簡便であるばかりか、非常に高齢者の様をよく反映していました。
アメリカであっという間に広まって、ヨーロッパに飛び火して、日本に2014年に入ってきたということです。
<スライド> フレイルの判定方法
フレイルの判定方法、このたった五つのうち、三つ以上をフレイルと判断しようとしました。0が健常、1個あると少しその前段階、ということを報告しました。
<スライド> フレイルと似ている用語 サルコペニア
フレイルと似ている言葉として、サルコペニアという言葉もお聞きになったことがあるかもしれません。
非常に共通点の多い用語です。これについても少しお話させていただきます。
<スライド> サルコペニアとは?
サルコペニアというのは、これも作られた言葉です。Sarco(サルコ)というのは「筋肉の」ということで、Penia(ペニア)は「減少」。
日本語では、加齢性筋肉減少症とややこしい名前がついています。サルコペニアの方が覚えやすいかもしれません。
<スライド> 加齢とともに筋肉内脂肪が蓄積します
筋肉減少症ですが、これはMRIで太ももの部分を輪切りにしたものです。
左が若い人、右が高齢者です。太さは大体同じぐらいです。しかし、中身を見てみると、この部分(薄赤の部分)が筋肉です。
高齢者ではこの部分(薄赤の部分)が筋肉で、この白い部分は何かというと、皮下脂肪です。霜降りのような状態です。
これを見ると、太さは見た目一緒でも、筋肉が少なくなっていることがわかります。
<スライド> 体重が変わらなくても筋肉の中の脂肪は増加します
皮下脂肪が増えるだけではなく、CTなどで詳しく見てみると、一見筋肉と思われている部分も、紫の部分は脂肪です。
若い人に比べて筋肉内の脂肪も増えている。皮下脂肪だけでなく、筋肉の一部が脂肪に置き換わっている。
これは(下段の写真)黒い部分が筋肉ですが、若い人は筋肉内の脂肪は少ないが、高齢者では、筋肉内に脂肪が多く混入している。まさに霜降り状態というふうになっています。
体重が変わらなくても、筋肉の中の脂肪は増加してくるということです。
<スライド> 加齢に伴い、筋量と筋肉の力は低下します
筋肉の断面積は、筋肉の量を示していますが、年齢が大体60歳ぐらいから筋肉の量は減ってきますが、それだけでなく、筋肉の力、筋力も減っていきます。筋肉の量が減るのは、目に見えて減るのは60歳ぐらいからですが、筋力に関しては、実は20歳代をピークに低下しています。ですから、筋肉の量だけでなく、筋力が低下するというのも、現実的には大事な問題になってきます。加齢に伴って筋量と、より早い段階で、筋肉の力は低下してくるということがわかっています。
<スライド> 筋量減少よりも筋力低下の方が大きい
より早い段階で、筋力低下が進むわけですが、筋量減少よりも、筋力低下の方が大きいということがわかっています。
つまり、見た目筋量は保たれていても、実は筋力が低下しているということがわかっています。
除脂肪体重というのは、筋肉量と考えていただいて結構です。70代の、男女2,000人ぐらいを3年間見てみると、その3年後で体重が、これは筋肉量が減少した人(濃靑色)、しなかった人(赤色)、変わらなかった人(薄青色)を見ています。
男性を見てみると、筋肉量減っていない人でも、もうすでに筋力は低下している。もちろん筋肉量が減少している人はもっと低下しているということです。
女性においても、筋肉量は減少していないのに、筋力低下は進んでいるということがわかっているという報告です。
<スライド> サルコペニアの診断アルゴリズム(AWGS)
それではサルコペニアというのはどうやって診断するのでしょうか。
サルコペニアの疑いのある人、例えば力が弱弱しくなっているような人を見ると、握力と歩行速度を測定します。
この二つが正常であれば、この人はサルコペニアではありません。
どちらか、或いは両方が低下している人がいたら、筋量を測定します。
筋量が低下していたらサルコペニアと診断しますし、筋量が低下していなかったら、非サルコペニア(サルコペニアではない)と診断します。
筋肉の量というのは一体どうやって、測定するのでしょうか。
ここに小さな絵がありますが(右端の絵)、こういった体重計のようなものに乗って、筋量を測ることができますし、少し大掛かりになりますがCTやレントゲンなどを撮って筋肉の量を測ることができます。
筋量を測るのは、このような機械が無いと難しいですが、簡単なスクリーニング方法というのがあります。
<スライド> サルコペニアのスクリーニング方
それが「指輪っかテスト」というもので、ぜひやっていただきたいです。
人差し指と親指で輪っかを作ります。
利き足でないふくらはぎ、「利き足って何ですか?」というと、サッカーなどでボールを蹴る方が利き足でない足です。利き足というのは、軸足のことを言いますので、ボールを蹴る足が利き足でない方になります。そちらのふくらはぎの方が、ちょっと細いです。
そちらを、人差し指と親指の指輪っかで囲っていただきます。
正常は囲めないです。ちょうど囲めるというのも少し筋量の低下を疑いますし、隙間ができるというのは、もうこれは筋量の低下をかなり強く疑います。
それから簡単な質問表などで点数化する方法なども開発されていますが、指輪っかテストは非常に簡便ですし、トレーニングをしていくと、隙間ができていたのが、隙間が狭くなったということも分かります。
非常に簡単な方法ですので、ぜひこれで、自分の筋量の目安を見つけていただきたいと思います。
<スライド> サルコペニアの病因
サルコペニアの原因は、まず遺伝的な要因がある程度疑われています。
それから、加齢にともなう、筋肉の合成に必要なホルモンの減少。或いは様々な病気が考えられています。
これらはなかなか避けることが難しいですが、タンパク質やエネルギーの摂取量が減っていること、運動をあまりしないこと、不活発であることが、サルコペニアの原因であるということもわかっています。
従ってサルコペニアに対しては、よく考えられた十分な栄養と運動が大事だということがわかっています。
<スライド> サルコペニアとフレイルの共通点
サルコペニアとフレイルというのは、共通点が多いことがわかっています。
フレイル、先ほどのフリード先生は、体重減少、握力低下、それから疲労感や歩行速度の低下、日常生活活動量の低下の五つを挙げていました。
サルコペニアは筋量の減少、筋力の低下、歩行速度の低下で診断します。
体重減少は筋量減少を表していることも非常に多いですし、筋力の低下というのは、そのままサルコペニアと同じです。
歩行速度の低下も一緒で、五つのうち三つがサルコペニアの要因です。
従ってサルコペニアとフレイルというのは、一部重なる部分があります。
サルコペニアとフレイルは、よく混同されたり、何が違うのですか?と聞かれることありますが、実はフレイルの一部の部分がサルコペニアです。
サルコペニアであってもフレイルではない人もいるので、混同されることも多いです。
<スライド> ロコモとフレイルの関係
ロコモとフレイルの関係というと、どういうことになるのでしょうか。
ロコモというのは、移動能力が運動器の障害によって低下してきた状態です。
それがだんだん進んで、要介護状態の手前ぐらい脆弱な状態で、だんだん進んでフレイル、そして要介護状態になっていく。
フレイルはロコモ以外の原因で起こるので、フレイルの前段階として必ずロコモがあるということではありません。ただ、ロコモが進行していくと必ずフレイルになっていって、要介護状態へ進展していくということがわかっています。
フレイルの方が少し重い状態です。
<スライド> 採点してみましょう!ロコモ度テスト
それではロコモについて少しお話させていただきます。
ロコモは、運動器の障害によって移動能力が低下した状態ですが、どうやって診断したらいいのでしょうか。
昨年、ロコモには段階があって、1度2度3度、3度は重症で1度が一番軽い状態だということが発表されました。
<スライド> 立ち上がりテスト
これには三つの、診断方法があります。
一つ目は、ここにお示ししました「立ち上がりテスト」というのがあります。
これは自宅に40センチの台とかがないので難しいですが、代わりに何か置いて、注意点をよく守って行ってください。
無理をすると、転んでしまいますし、痛みがあると痛めてしまうかもしれませんので気をつけてください。
このように座って、反動をつけないようにするために、胸の前で腕を交差させる体制です。
決して無理しないでください。
両足ですっと立って、3秒保持です。
できる人は、片足ですっと立って、3秒保持です。
この高さをいろいろ変えていきます。
これは難しいです。片足で低いとこから立ち上がるのはなかなかできるものではありません。
この高さをいろいろ変えて、両足と片足で検査をする。
<スライド> 立ち上がりテスト
両足で30センチから立ち上がれなかったら非常に重症で、ロコモ度3になります。
両足で30センチです。一遍ビデオを止めて、やってみていただきたいです。
それができた人は、注意しながら両足で20センチが立てるかどうかをやってみてください。
立てなかったら、ロコモ度2です。
それもできたら、どちらか一方の足で40センチの台から立ち上がれないけれど、両足で20センチから立ち上がれる。これがロコモ度1です。
すなわち、どちらか一方の足で40センチの台から立ち上がれたら、ロコモではないと判断されます。
皆さんビデオを止めてやってみてください。でも無理しないでください。
自信のある人は、片足で40センチからやっていただいて結構です。これで立ち上がればロコモではないということになります。
自信のない人はここ(ロコモ度3)からやってみてください。
<スライド> 2ステップテスト
もう一つの方法があります。
ツーステップテストこれも注意してやってください。
これは歩いてもらうということです。
スタートラインを決めて両足のつま先を合わせます。
できる限り、大股で2歩歩いて、両足を揃える。
このつま先からつま先までの距離を測ります。
2回行って、よかった方の記録を採用します。
そして、この計算式で数字を出します。
例えば、1メートル50センチの人が、2歩で3メートルだったとすると、3メートル÷1.5メートルで、2がこの値ということになります。
<スライド> 2ステップテスト
これを計算式で、その値が小さければロコモ度3で、1.3以上あればロコモではないということになります。
このような計算になりますが、これも簡便な方法ですので、ぜひ試してみてください。
<スライド> ロコモ25
それから質問法もあります。15個の質問で、ロコモ25というのがあって、質問して点数をつけて判定するという方法もあります。
ビデオを振り返って見ていただくと、点数づけできますのでぜひこれもやってみてください。
<スライド> ロコチェックで簡単に確かめられます
もっと簡単なのが、ロコチェック。
一番簡単なスクリーニング方法です。よかったらやってみますか?
片足立で靴下がはけない。
家の中でつまずいたり滑ったりする。
階段を上がるのに手すりが必要である。
横断歩道を青信号で渡り切れない。
15分ぐらい続けて歩けない。
2キロの水とかを買い物をして持ち帰るのが困難である。
家のやや重い仕事が困難である。掃除機を使用したり、布団の上げ下ろしです。
1個でも当てはまればロコモの心配があります。
今日から、このシリーズでは、運動のビデオも作られていますので、そういったロコモーショントレーニングを始めてみてください。
<スライド> まだエビデンスが少ない新しい栄養学(1) 高齢者と栄養
それからもう一つ重要なのが、栄養です。
この栄養について、第3回目でお話しさせていただきたいと思います。
どうも御聴講ありがとうございました。