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公益財団法人
吹田市健康づくり推進事業団

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循環器病予防 市民の集い
~健都から発信!学ぼう循環器病予防のこと~
基調講演1 テキスト原稿
テーマ 「めざせ 健康寿命100歳!」
講師 国立循環器病研究センター
健診部 特任部長
小久保 喜弘 氏
(御前副理事長)
 はい皆様こんにちは。本日は公益財団法人吹田市健康づくり事業団の「循環器病予防市民のつどい」、御視聴いただきまして誠にありがとうございます。「学ぼう循環器病予防について」ということで、本日は講演をさせていただきますが、私今回司会進行を務めます、健康づくり事業団副理事長の御前でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 早速ではございますが、まず一つ目の基調講演、まずさせていただきたいと思います。一つ目の講師をお務めいただくのは、国立循環器病研究センター健診部部長でいらっしゃいます小久保喜弘先生でございます。小久保先生の御略歴を御紹介申し上げます。1996年に東京医科歯科大学の医学部を御卒業になりまして、そのあと同大学難治疾患研究所疫学教室、そこを経られたのち、2001年当時の国立循環器病センター、当時センターでございましたが、そこに赴任されました。そのあと集団健診部、予防健診部医長等を経られまして、昨年12月からは、国立循環器病研究センター健診部の特任部長をお務めでございます。他にも大阪大学を始め各大学の非常勤の教授、招へい教授、客員教授、非常勤講師等、数々を務めておられます。またスコットランドグラスゴー大学の招へい教授も務めておられます。小久保先生を御紹介するときに、まず外してはいけないことが、吹田研究でございます。御存知の方も多いかと思いますが、吹田研究というのは、1989年から、吹田市民を対象にした大規模な、いわゆる疫学調査、ということでございます。小久保先生はその膨大なデータを詳細に分析されまして、その業績は日本のみならず、世界的にも有名になっております。また、各種学会が最近作成しております、いわゆるガイドライン、循環器病を防ぎましょうというガイドラインにもその業績が多く取り入れられているところでございます。本日は、「めざせ健康寿命100歳!」ということでご講演いただきますが、先ほど申し上げましたように、膨大なデータ、正確なデータに基づいたお話を聞かせていただけるものだと思っております。それでは小久保先生、よろしくお願いいたします。
(小久保先生)
<スライド> めざせ健康寿命100歳!
御紹介いただき、誠にありがとうございます。本日は、「循環器病予防市民のつどい、健都からの発信学ぼう循環器病予防のこと」いうことで、今日のテーマは、「めざせ健康寿命100歳!」ということで、皆様とお話を進めて参りたいと思います。よろしくお願いいたします。
<スライド> 性・年齢階級別の収縮期血圧平均値
こちらのスライドは、1960年代から50年かけて、男性、女性30代から70代にかけて、最大血圧がどのように推移しているかということを示したものです。この50年間にわたり、男性も女性も、老いも若きも、血圧が改善していることが分かります。しかし、改善したとは言っても、ご高齢の方の平均血圧が140台を超えているところから、ざっくり申し上げますと、半分の方が高血圧の範囲に入っているということで、まだまだ血圧の改善が必要であるということが分かるわけです。
<スライド> 血圧値と循環器疾患発症のリスク
こちらは、血圧のカテゴリーとその後の循環器疾患発症との関係を示したものでございます。血圧を下げれば下げるほど、循環器疾患発症は低くなりますが、この正常高値血圧をご覧いただくと、やはり血圧のさらに低い群と比べますと、血圧の少し高いが故に、循環器疾患の発症が増えているということが分かります。
<スライド> 生活習慣の改善目標:高血圧治療ガイドライン2019
こちらのスライドは、高血圧のガイドラインの中にある生活習慣の改善目標です。まず、減塩ですね。1日当たり6グラム未満。食塩以外の栄養素としましては、野菜・果物をしっかり食べましょう。それから、飽和脂肪酸を控えて、魚を多く取るように心がけましょう。それから、適正体重の維持。運動習慣。それからお酒はほどほどに。それから禁煙。この全部で7つの項目が挙げられます。こういった項目が、高血圧の改善に必要な生活習慣でございます。
<スライド> 主要各国の高血圧治療ガイドラインにおける生活習慣改善目標
こういったガイドラインは、一番右側に、日本の高血圧ガイドライン、それからアメリカのガイドライン、ヨーロッパのガイドラインがございますけれども、いずれの主要国においても、見方や方法が異なったとしても、目指すべき方向は一緒であるということです。ここに書かれていない、その他の国々のガイドラインも、ほぼ似たようなガイドラインでございます。従いまして、高血圧を改善するためには、あるいは血圧が上がりにくいようにするためには、こういった生活習慣を目指すということが、世の東西かかわらず、文化や人種が異なったとしても、血圧に対しての生活習慣の改善の目標は同じであるいうことが、これでご理解いただけると思います。
<スライド> がん予防12可ケ条
一方がんの予防については、この1条、たばこは吸わない、他人のたばこの煙を避ける、これは受動喫煙ですね。お酒はほどほどに。バランスのとれた食生活。塩辛い食品は避ける。野菜・果物、それから運動習慣、適正体重の維持。ここまでは先ほど申し上げました高血圧の改善目標とほぼ同じであり、がんの予防にも繋がるということが分かります。9条から12条においては、正しいがんに対しての情報を、知っておくということに繋がるわけで、生活習慣の改善としては、血圧を改善するように心がけることによって、がんの予防にも繋がるということが分かるわけです。
<スライド> 高血圧の改善
それでは、高血圧の改善についてです。
<スライド> 減塩職とDASH食による収縮期(A)と拡張期血圧(B)の効果
こちらのスライドは、塩分の摂取レベルと、上の血圧と下の血圧との関係を示したものです。ここで、DASH食と書いてございますが、DASH食は、アメリカで考案された高血圧を改善するための食事です。野菜や果物、低脂肪の乳製品、全粒粉、魚、種実類が強化されており、赤身肉や甘いものやジュース類は制限されております。左のグラフは、上の血圧で、例えば塩分の摂取が高い群の方々がここにありますが、塩分の摂取レベルが下がることによって、ご覧のように血圧が下がります。上の血圧も下の血圧も下がることが分かります。今度は、同じ塩分の、例えば塩分の高い人たちが、DASH食を食べることによって、血圧がこういうふうに下がることが分かります。さらに塩分の摂取量が下がり、DASH食を摂ることによって、もっと血圧が改善するということが分かるわけです。つまり、塩分の摂取量を減らすということと、健康な食生活を目指すということで、より血圧の改善が見込まれるということが分かったグラフでございます。
<スライド> 野菜・果物に多く含まれる栄養素
まずそしたら野菜・果物に多く含まれている栄養素にはどのようなものがあるかみてまいりましょう。まず野菜・果物に多く含まれるのは体に重要なカリウムというミネラル。それから、抗酸化ビタミンとしてビタミンC、ビタミンE、カロテノイドというものがございます。そのほかには食物繊維が含まれております。
<スライド> 喫煙習慣別の果物摂取量と循環器疾患との相対危険度
こちらのスライドは、たばこを吸ってるか吸っていないか二つの群に分け、それぞれの中で、果物の摂取量が増えれば増えるほど、循環器疾患がどのような関係にあるのかということを示したものです。左はたばこを吸っていない方を中心にまとめたもので、果物の摂取量が増えることによって、循環器疾患が減少しているのに対して、右側のグラフはたばこを吸っている人達です。この人たちはたばこを吸っているがために、果物をいくら食べても、循環器疾患のリスクが下がらないということが分かりました。この結果から、せっかく体に良い果物を摂取したとしても、体に悪いたばこを吸うことによって、打ち消されてしまうということでございます。
<スライド> ビタミンⅭ・野菜摂取量と脳卒中発症との関係:20年追跡研究
こちらは、ビタミンCと野菜摂取量と脳卒中との関係を示したものです。私が東京にいた頃、毎週新潟の方に行き、新潟でこういった疫学調査を行い、野菜の摂取量が、右側ですね、非常に新潟の人は野菜を食べます。さらに食べれば食べるほど、脳卒中、脳梗塞、脳出血の発症が少なくなる。また、血液中のビタミンC濃度も、増えれば増えるほど、脳卒中の発症が低くなるということが分かった研究でございます。このように、野菜の摂取量、あるいは果物の摂取量を増やすことによって、循環器疾患の発症が低くなるということが分かっております。
<スライド> 果物と総死亡:メタ解説
一方果物はどうしても、太りやすいとか血糖が上がりやすいといった思いもありますけれども、日本人が果物をよく摂取するのは主に食後で、デザートとして召し上がる関係上、どうしてもお腹いっぱいのところで果物を摂取するので、太りやすい、あるいは血糖が上がりやすいというイメージをどうしても持ってしまうのかもしれません。一方欧米では、食事の最初からサラダに入っていたり、メインディッシュに入っていて、果物との付き合いというのは食事全体の中で召し上がっていますので、そういった果物と、太りやすいとか、血糖が上がりやすいっていうことは、そんなに思ってはおりません。果物が、例えばこういった死亡のリスクですね、それから、太るあるいは血糖が上がる、こういったエビデンスはほとんどございません。実際に、間食でお菓子やケーキなどを食べるのに比べて、果物の摂取量は多少増えたとしても、摂取カロリーはそれほど多く増えませんので、そんなに心配することなく、厚生労働省で言われているような、りんごだったら1個、バナナだったら2本、このくらいの基準で召し上がれば1日の目安量となります。
<スライド> 我が国の食品群別一人当たり供給量の推移
日米における一人1年あたりの野菜摂取量の推移
ご覧のように、野菜の摂取量が下がってきております。一方、野菜の消費量、増えているのはアメリカ人で減っているのは日本人で、イメージとしては、日本人の方が野菜を食べているように思うかもしれませんが、アメリカ人の方が多く野菜は摂取してるということが、このグラフで分かります。
<スライド> n―3系多価不飽和脂肪酸の摂取と心筋梗塞の発症:JPHC研究
さて、n-3系多価不飽和脂肪酸、特にこれは魚に含まれているんですけれども、こういった食品を多く取ることによって、心筋梗塞の発症が低くなる、という結果が日本の研究成果から分かったことです。
<スライド> n―3系多価不飽和脂肪酸と心筋梗塞死亡率
世界各国歩いて、魚の消費量と、心筋梗塞死亡との関係を見ていった場合、日本人はこういったお魚をよく食べていて、心筋梗塞が非常に少ないという結果が分かり、お魚を食べることによって、綺麗にこういうふうに右下がりのグラフになることが分かっております。
<スライド> 運動習慣 <スライド17>高血圧患者での運動による降圧効果
さらに運動習慣ですけれども、高血圧の方は運動するとどれだけ血圧が下がるかということを、今から30年くらい前に研究した先生がいらっしゃって、運動療法を開始すると、これだけ下がってくると。ですので、血圧の高い方は運動しましょうというのは、こういうところから言えるわけです。
<スライド> 身体活動量が多い高齢者ほど認知機能が低下しにくい
また、身体活動量が多いと、認知機能の低下が少ないということも分かっており、運動することによって、認知症の予防、認知機能低下を少しでも防ぐことができるかと思います。
<スライド> 生活習慣の修正により見込まれる降圧
これらの高血圧のそれぞれの項目、食事を全部一つのDASH食というふうにまとめていくと、食事あるいは減塩、それから減量、適正体重の維持、運動、それから適正飲酒量の維持。こういった項目があります。どの項目も多少、血圧の改善、大小ありますけれど、自分が一番やりやすい項目から着手していきますと、最初はちょっと厳しいかなと思った項目でも、自分が選んだ項目を改善することができれば、次のハードルも比較的容易になるのではないでしょうか。
<スライド> 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017治療法:生活習慣の改善
こちらは動脈硬化予防ガイドラインの生活習慣改善のポイントです。禁煙、過食、それから運動不足、それから、加工食品の大量摂取を控える、それから、食物繊維の多い食べ物、それから大豆製品をよく摂りましょう、というような内容でございます。その他の項目については、高血圧のガイドラインから、ほぼ似たような項目で、重複しております。この赤い三つのところについて、さらにお話してまいりましょう。
<スライド> 食物繊維
<スライド> 喫煙の有無別による総食物繊維摂取量と循環器病発症のとの関係
まず食物繊維ですけれども、先ほどと同じように、食物繊維量が少ない群から高い群に、男性、女性に分けて、たばこを吸っている人たち、たばこを吸っている人達は男性女性とも、循環器疾患発症が、下がらない。食物繊維を多くとっても、たばこの悪い影響が強く循環器疾患の発症改善に貢献しない。それに対してたばこを吸わない人たちは、循環器疾患の発症が男性も女性も低下していることがこれで理解できるかと思います。このように食物繊維一つとったとしても、たばこを吸わないことで、循環器疾患の発症と非常に密接に関係があるということが分かります。
<スライド> 大豆と疾患予防
次は大豆です。
<スライド> 大豆摂取による資質の介入研究:メタアナリシス
かなり以前から研究が進められて、こういった大豆をよく食べさせることによって、コレステロールの高い人がどれだけ改善するのかという研究をまとめて出てきた成果です。総コレステロール、悪玉のLDLコレステロール、それから中性脂肪、こういったものは、大豆をよく摂ることによって改善し、さらに善玉コレステロールのHDLも増えるということで、これもいい方向に働くすなわち大豆を多く摂取することによって、こういった高コレステロール血症が改善することが分かるということが、比較的昔から分かっていることでございます。
<スライド> 食事性大豆・イソフラボン摂取と脳梗塞・虚血性心疾患発症との関係
こちらは、日本の4万人の地域住民を対象に研究した成果でございます。大豆製品をよく摂る女性は、循環器疾患の発症が低くなることが分かります。男性は変わらないというのは、結局これも、たばこによる影響で、女性と比べて、男性の方が喫煙率が高いのでたばこによる影響があってですね、男性集団全体の中で、大豆を多く摂取しても、循環器疾患の発症が下がらないということが分かりました。一方右側のグラフは、この大豆の中のイソフラボンの摂取量を換算して見てみたもので、イソフラボンの摂取量が増えれば増えるほど、循環器疾患の発症が減るということが分かりました。さらに、閉経後大豆製品をよく摂っている人たちは、循環器疾患の発症が抑えられるということが分かりました。
<スライド> イソフラボンと心筋梗塞死亡率(男性)
同じように世界各国、イソフラボンと心筋梗塞との関係を見ると、こういったところに日本が含まれており、あと、台湾が含まれているように、こういった東アジアの人たちは、大豆をよく食べますので、心筋梗塞が非常に低いということで、綺麗にこれも右下がりのグラフになっているわけです。ご覧のとおり、食事で言えば、お魚と大豆製品というのは循環器疾患としては、将棋で言えば飛車と角に相当する極めて重要な、私たちの健康食品として、重要な項目でございます。
<スライド> 味噌汁の摂取杯数と高血圧、脂質異常症、糖尿病罹患リスクとの関係:10.5年間追跡研究(吹田研究)
そうすると、今度は大豆製品の中でも、味噌というのは、重要な発酵大豆商品です。しかし昔は、味噌汁をよく飲んでいて血圧が高くなるからあまり味噌汁を摂らないように、と言われています。では一体どのくらい摂取したらいいのだろうということですが、このグラフは、味噌汁を平均的に摂取している摂取杯数と、その後の血圧が、高血圧、脂質異常に移行するかどうかということを調べたという研究でございます。味噌汁をほとんど摂取しない人を基準にしますと、日に一杯摂取した人の方が、高血圧も脂質異常症も、なりにくいということが分かりました。さらにそれ以上摂取しても、血圧も上がりやすくなってくるということで、U字型の関係が見られるということで、日に一杯程度が、一番、血圧もコレステロールも上がらないということです。ここで気をつけることは、味噌汁はお薬ではありません。味噌汁を摂取するという、そういった中に、イソフラボンが含まれている。また、味噌汁を摂取するような食生活、こういったものが、非常に健康に繋がるのではないかという風に考えるわけですね。
<スライド> 「みそ汁」と乳がんリスク
<スライド> 喫煙習慣別に見たイソフラボン摂取と肺がん罹患との関係:JPHC研究
味噌汁は、循環器病だけではなくて乳がんのリスクも下がるし、それから、肺がんのリスクも下がるということも、分かっております。
<スライド> 加糖清涼飲料水と揚げ物
最近注目しているのは、こういった加工食品で、特に清涼飲料水と揚げ物ですね。
<スライド> 清涼飲料水の消費とメタボリックシンドローム構成因子別罹患リスク:フラミンガム研究
これはアメリカのフラミンガム研究ですが、こういった清涼飲料水を摂取することによって、肥満、それから血圧、中性脂肪、それから低HDLコレストロール、こういったものが上がるということで、メタボになりやすいということが出ているわけです。
<スライド> フライドポテトは死亡リスクを上げる
さらに、フライドポテト、非常に今アメリカでは深刻な問題で、こういったポテトを大量に摂取すると、死亡リスクが大きく上がるということが分かっています。ですので、アメリカの研究では、週に1回程度までのフライドポテトだったらいいんですけど、週に2回以上摂取すると、ご覧のように、死亡リスクが増えるということが分かります。
<スライド> フライドチキンを週1回食べる女性は死亡リスクが13%高まる
フライ魚を週1回食べる女性は死亡リスクが7%高まる
一方フライドチキンですが、ご覧のように、食べれば食べるほど、死亡リスクが増えていくということが分かっています。揚げ物は非常に体に悪いわけです。
<スライド> 循環器病を予防するエビデンスに基づく生活習慣病のポイント
こういった話を、全部つなぎ合わせて、循環器病センターでは、こういった循環器予防として、特定健診や、これからお話する、心不全の重症化予防についての保健指導を開始しております。先ほどの高血圧ガイドラインの七つの項目、それから、動脈硬化性疾患予防ガイドラインの3つの項目を足して10項目について、それぞれの受診者に、自分がどんな状態になっているか、たばこを吸っていたらここにチェックを入れるっていう形でチェックを入れていただくんですね。もしも、たばこを吸っていたり、こういった食生活、運動習慣が悪いにチェックがあった場合に、一目瞭然で、自分が至らない項目がどこかというのが分かります。その至らない項目の中で、一つあるいは二つ選択していただいて、生活習慣の改善の目標を設定していただくわけです。こういった形で、生活習慣の改善指導を行っております。
<スライド> 世界の高齢化率の推移
今深刻なのは超高齢化で、日本は欧米諸国の中でも一番高齢化率が高く、アジアの中でも一番高齢率が高い、世界で高齢化率が一番高い国でございます。
<スライド> 65歳以上の一人暮らし者の推移
一人暮らしの方も非常に増えております。
<スライド> 都市規模別にみた65歳以上人口指数の推移
それから、特に都市部での、65歳以上の人口が増えております。ですので、こういった大都市での高齢化問題が非常に深刻に今後なります。
<スライド> 健康寿命と平均寿命の推移
このグラフは、健康寿命と平均寿命の推移を示したもので、この上の点々のグラフは平均寿命を表しており、それから下の方は健康寿命を示したものです。すなわち、2001年の場合だと、健康寿命と平均寿命との間は8.7歳に対して、最近でも8.7歳。この格差が縮まらない。女性も同じように、12.3歳で、12.1歳。なかなかこの格差が縮まらないというところで、今国を挙げて、何とか健康寿命の延伸ということを目指しているわけでございます。
<スライド> 日本における心不全、脳梗塞、急性心筋梗塞による死亡者数
このグラフは日本における心不全、脳梗塞、急性心筋梗塞による死亡者数です。増えているのは、何といっても心不全です。この心不全対策っていうことが、健康寿命の延伸では極めて重要になってくるわけです。
<スライド> 健康な心臓から心不全までの経過
健康な心臓から、様々ないろんな心疾患を発症することによって、心臓の機能が次第に低下して、心不全に至って、最後、心臓死に至ってしまうわけです。できるだけ、こういった心臓の疾患を起こさないように、理想な生活習慣に近づけて、健康寿命の延伸に持って行くということが、何より大切なことです。
<スライド> 吹田スコアを用いた冠動脈疾患の発症予測モデル
そういった中で、私たちは吹田スコアというものを作りまして、こういった心筋梗塞の予防モデルを作りました。ご覧のように、年齢や、HDLコレステロール、LDLコレステロール、それから、男女、血圧、たばこ、糖尿病。こういったものを使うことによって、心筋梗塞のリスクが低いスコアから、高いスコアまであって、自分がどのぐらいの位置にあるのかということを見ていって、10年以内の心筋梗塞、虚血性心疾患の発症の割合が出てくるわけです。例えば56点の場合だと、ここにありますように、十年間の間に虚血性心疾患を発症するのは9%であるということです。
<スライド> 動脈硬化ガイドライン2017年版
このように、それぞれのリスクに応じて、コレステロールの基準が決められております。
<スライド> 心房細動リスクスコア入力画面:吹田研究・フラミンガム研究
一方心房細動については、非常に循環器疾患の中でも、心不全や脳梗塞のリスクが非常に高くなってきます。そのため、我々はこういう心房細動健診を受けた程度で、10年後の発症予測が分かるようなツールを公開しております。
<スライド> 心不全予防のための戦略
こういったところから、心不全のリスクスコアを作ろうとしたんですけれども、リスクスコアで見ていくと、すべての心疾患と脳梗塞がリスクになってしまいまして、地域住民の方にはこれを使うことが難しいということになってしまいます。そこでもっと上流域の虚血性心疾患と心房細動を用いたリスクスコアを活用して、このリスクスコアでリスクが高い人を選び出して、要医療であれば、地域の医療連携を図り、要指導であれば、保健指導を行って、特定健診と同じように、保健指導を行うということを、市と一緒に今後取り組んでいくわけでございます。そうすることによって、これまでの虚血性心疾患ばかりではなくて、その向こうの心不全予防にも繋がるわけです。
<スライド> 健都循環器病予防プロジェクト協定書締結調印式
このようにして、去年の10月、後藤市長、それから川西医師会長、それから国循の小川理事長と調印式を締結して、こういった新しい事業を開始しているわけです。
<スライド> 心不全予防対策のための生涯健康支援アドバイス(結果報告書)
これが健診を受けて、このプロジェクトに賛同された方はBNPという値を測定いただいて、虚血性心疾患と心房細動のリスクが高いかどうかということを判定して、生活習慣のアドバイスをお返しするということを研究で行いました。さらに来年度からは、保健指導を行って、こういったリスクが高い方に対して、どのように保健指導をして生活習慣の改善をとっていったらいいのかということに取り組んでいくわけでございます。
<スライド> まとめ
我が国では世界で最も高齢化率が高くて一方でエビデンスがほとんどないのが現状です。こういったことを行うことによって、心不全の対策に努めて、生活習慣の改善を目指し、心不全ばかりではなくて、この10個の生活習慣の項目を見直すことによって、その他の、循環器疾患、がん、認知症、そういった疾患の予防にも働きかけることができますので、こういった心房細動、虚血性心疾患、BNPを使った心不全予防事業に取り組むことによって、市民の皆様方が今後、健康寿命がさらに延伸して、こういった事業を大いに活用していただければ、皆さん健康になっていくこと間違いないと考えております。御清聴ありがとうございます。